ウサギの血尿
ウサギの尿は正常でも黄色や白色、赤色、褐色など様々で、カルシウム等のミネラル成分で尿が濁っていることもあります。このため、見た目だけでは本当に血尿かどうかを判断することが難しく、疑わしい場合には尿検査を行い血液かどうかを判断します。
ウサギは発情に伴う出血は起こらないため、血尿だった場合は病的なものであり原因を突き止めていく必要があります。大きく分けると膀胱や尿道などの泌尿器の病気として生じる場合と、子宮や卵巣など生殖器の病気から生じる場合が考えられます。
【症状】
尿全体が薄赤くみえたり尿の中に血の塊がみられたり、あるいは真っ赤な血が陰部から出てきたりと出血の程度は様々です。
泌尿器に由来する病気としては膀胱結石や尿砂、感染症による膀胱炎や尿道炎が見られます。血尿以外にも少量頻回にトイレに行ったり、排尿時に痛そうにしたり、いつもと違う場所での排尿などの症状が見られることも多いです。
生殖器の病気は初期には無症状であることが多く、わずかな出血に気づいて来院される場合が多いです。子宮内膜炎や子宮内膜過形成、子宮腺癌など様々な病気が考えられますが、症状だけでの鑑別は困難です。出血だけで元気や食欲に問題はない場合が多いですが、病状が進行するにつれて出血量が増え、貧血により食欲不振や元気低下がみられます。腫瘍の場合は転移による呼吸困難や病的骨折などがみられ、長期的には命にかかわるトラブルとなり得ます。また、急な大量出血の場合には1-2日のうちに失血死に至るケースもあり迅速な対応が必要です。
子宮の異常は早いと2歳頃から生じるケースもあり、加齢とともに発生率が高くなる傾向があります。
【治療】
泌尿器の病気か生殖器の病気かの判別はお腹を触っての触診と、尿検査、レントゲン検査や超音波検査を行い判別します。また、貧血の程度の確認のために血液検査を行う場合もあります。
膀胱炎の場合は抗生剤や消炎剤の投薬を行い、治療にあわせて落ち着いてくれることが多いです。膀胱結石では石のサイズによっては自然と排出される場合もありますが、基本的に手術による結石摘出が必要になります。
子宮の病気はお薬による治療は困難で、手術により子宮卵巣摘出を行わない限り自然と改善することはありません。先述したような急な大量出血の場合は緊急的な手術が必要となることも多く、注意が必要です。また、予防的な目的として症状がないうちに避妊手術を行うこともオススメします。
病院に尿をお持ち頂く場合は液体の状態で、トイレ砂などが混ざらない場所で排尿したものを回収して清潔な容器に入れてお持ち下さい。量は多い方が良いですが、とれる範囲で結構です。