【病気について】愛犬・愛猫の「しこり」を見つけた時の対処法

愛犬や愛猫をなでている時に、指先に触れる小さな「ぽこっ」とした感触。 「これって病気?」「すぐに病院に行くべき?」と、不安になりますよね。
実は、皮膚の異常を一番早く見つけられるのは、毎日触れ合っている飼い主さんです。
今回は、ご家庭で今日から実践できる「しこりのセルフチェックポイント」と、犬・猫それぞれに多い体表腫瘤についてお話します。
1. 【実践】お家でできる「しこり」のセルフ診断4ステップ
病院に行くべきか迷ったら、まずは以下の4つのステップで、しこりの状態を「観察・記録」してください。この情報があるだけで、獣医師の診断精度はぐんと上がります。
STEP 1:感触を確認する(固着しているかどうか?)
しこりを指先で優しくつまみ、皮膚と一緒に左右に動かしてみてください。
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動く: 皮膚と一緒に動くなら、良性の可能性が比較的高いです。
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動かない: 下の筋肉や骨にガッチリ固定されている(根を張っている)感触がある場合は、悪性の可能性や強い炎症が疑われます。
STEP 2:大きさを記録する
定規で測るのが理想ですが、難しければ以下の例えでメモしましょう。
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例: 米粒、小豆、1円玉、ピンポン玉など
重要: 「1ヶ月前は米粒だったのに、今は1円玉になった」というしこりの大きさの変化のスピードが、悪性度を判断する最大のヒントになります。
STEP 3:表面の状態を見る
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色: 赤い、黒い、あるいは青紫色になっていないか。
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毛: その部分だけ毛が抜けていないか。
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本人の様子: 頻繁に舐めたり、触ると痛がったりしていないか。
STEP 4:ボディーマップを作る
ノートやスマホに「体のどこに」「いつ」「どのくらいの大きさで」見つけたかをメモしましょう。複数ある場合は、それぞれに番号をつけておくと診察がスムーズです。
2. 【犬編】体表にできる腫瘍
ワンちゃんは、良性と悪性のどちらも発生しやすいのが特徴です。
1.皮脂腺腫(良性)
特徴: 高齢犬に多く、皮膚の表面に「カリフラワー状」や「イボ状」に盛り上がります。基本的には良性ですが、本人が気にして掻き壊すと出血することがあります。
2.脂肪腫(良性)
特徴: 皮下の脂肪が塊になった良性腫瘍です。柔らかく、皮膚の下で可動性があるものが多いです。稀に筋肉に入り込むタイプ(浸潤性脂肪腫)もあるため、定期的なサイズチェックが必要です。
3.皮膚組織球腫(良性)
特徴:若い犬(3歳以下)に多く、急激に赤く盛り上がります。見た目は悪そうな印象ですが、多くは数ヶ月で自然に消える良性の増殖疾患です
4.肥満細胞腫(悪性)
特徴: 犬の皮膚腫瘍で最も多い非常に厄介な悪性腫瘍(がん)です。 ただのイボや虫刺されに見えることもあり、触ると赤みが強くなったり引いたりするのが特徴です。下記のように同じ肥満細胞腫でもかなり見え方が異なるのも特徴の一つです。

3. 【猫編】体表にできる腫瘍
猫ちゃんのしこりは、ワンちゃんに比べて「悪性(がん)である確率が高い」ため、より慎重な観察が必要です。
1.肥満細胞腫(悪性)
特徴:一見イボと似たような見た目で、頭部にポツンと小さな結節ができることが多いです。犬と違い、猫の場合は良性の挙動をとることもありますが、多発している場合は内臓の病気と関連しているケースもあるため注意が必要です。
2.乳腺腫瘍(悪性)
特徴:お腹にできるしこりです。猫の場合、95%近くが悪性で進行も非常に早いため、小さなしこりを見つけた時点ですぐに受診してください。乳腺腫瘍は進行すると、自壊し出血することもあります。乳腺腫瘍はメスだけではなく、オスにも発生することがあります。

3. 【番外編】腫瘍と間違いやすい腫瘤
1.表皮嚢胞
特徴:皮膚の中に「袋」ができ、角質(垢)が溜まったものです。破れると中からおからのような物質が出ますが、感染を防ぐため無理に絞らないでください。人でいう粉瘤と同じ病気です。
2.肉芽腫
特徴:異物や舐め壊しに対して、体が防衛反応で作った「炎症の塊」です。足先などによく見られ、本人が気にして舐めることで炎症が持続し、しこりのように見えることがあります。
まとめ:迷ったら細胞診を!
「見た目」だけで良性か悪性かを判断することは、獣医師でも非常に困難です。
もし愛犬・愛猫に新しいしこりを見つけたら、まずは動物病院で「細胞診(針吸引検査)」をご相談ください。
細い針を刺して細胞を少し採取するだけの、麻酔なしでできる簡単な検査です。
「何でもなかったね」と笑って帰れることが、飼い主さんにとってもペットにとっても一番の安心に繋がります。日頃のスキンシップの時間に、ぜひ優しく全身をチェックしてあげてくださいね。



