シニア期の過ごし方シリーズ⑨~自宅ケア 身体の清潔を保つ~

シニア期やターミナル期の動物たちは、元気で活発な時と比べると抵抗力や免疫力が落ちてきて、感染や炎症を起こしやすくなります。
そのため、皮膚炎や外耳炎、歯肉炎などを起こしたり皮膚にできた腫瘍や褥瘡(じょくそう=床ずれ)が悪化して感染を起こしてしまうこともあります。
このような状態は、動物たちに不快感や苦痛をもたらすだけでなく、ニオイなどの原因となって介護するご家族の精神的な負担となってしまうこともあります。
動物たちを感染や炎症から守ってあげるためにも、快適に日々を過ごすためにも、動物たちの身体を清潔に保つように努めましょう。
【目の周りのケア】

シニア期になると目の周りの筋肉や脂肪も減り目が落ちくぼむようになり、そのくぼみに目ヤニが溜まりやすくなってしまいます。
落ちくぼんだ隙間に入り込んだ目ヤニは生理食塩水や人工涙液などで目を充分に洗い流すようにすると奥に溜まった目ヤニもキレイ取り除く事が出来ます。
また、涙や目ヤニをそのままにしておくと、目の周囲のただれや炎症を起こしやすくなります。
目の周囲はぬるま湯にひたしたガーゼやコットンなどで優しく拭いてあげましょう。
目ヤニが固まっている場合には、ぬるま湯でふやかしてから目の細かい櫛で取るのがおすすめです。
長毛種で目の中に毛が入りやすいようであれば、定期的に短めにカットしておくのも良いですね。
【口の周りや口腔内のケア】

口周りは汚れやすいため毛や皮膚に水や食べ物が付着したままの状態にしておくと、皮膚炎を起こしやすくなってしまいます。
口の周りは水を飲んだりお食事をすることによって特に汚れやすくなりますので、その都度きれいに拭くようにしましょう。
特に毛が長い犬たちは、フードなどが口の周りに付きやすくなるので、シニア期になったらお手入れをしやすい長さにカットしてあげると良いかもしれません。
汚れを拭き取るのが難しい場合は、洗浄ボトル(ノズルのついた噴出式のボトル)を利用したり、寝たきりの子であればぬるま湯をはった洗面器に口元をつけて、そっと洗ってあげると良いでしょう。
洗った後は、乾いたタオルで水気を拭きとってよく乾燥させるようにしましょう。
また、高齢になると唾液の分泌が少なくなり、口の中に食渣(しょくさ=食べ物のカス)が残りやすくなります。
お食事の内容が柔らかいフードや流動食の場合には、より残りやすくなり、さらに歯肉炎を起こしやすくなります。
お皿から飲水出来る子は、食後にお水を飲むことで口腔内をすすぐかわりにもなります。
また、食後はシリンジを使って口の中を水ですすいであげたり、湿らせたガーゼでお口の中に残っている食渣を拭き取ってあげるのも効果的です。
【耳のケア】

耳の中の汚れがニオイの原因となっていることがありますが、通常は湿らせたガーゼなどで外から見える部分の汚れを優しく拭きとる程度のお手入れで十分です。
とくに寝たきりの子は好きな体制や寝やすい向きが決まっている事が多いため、同じ方向の耳がずっと下側になり蒸れて汚れが多くなりがちです。
「ニオイが強い」、「耳の中が赤い」、「黄色や黒色の耳垢がたくさん出ている」、「耳を気にして痒がる」、「頭をしきりに振る」などの症状がある場合には、外耳炎を起している可能性がありますので、病院へご相談ください。
【お尻周りのケア】

排泄後のお尻周りが汚れやすい子の場合は、お尻周りやシッポの毛を、お手入れがしやすい長さにカットしたり、シッポの毛を粘着包帯などで巻いておく事で汚れ防止になります。
肛門周りの汚れなどは、ペットや人の赤ちゃん用のお尻拭きなどを利用すると便利ですが、擦りすぎには注意が必要です。
取りづらい汚れの場合は、さっと洗い流してあげるのが1番早い方法です。
小さい動物であれば抱き上げて洗面器にはったぬるま湯の中で洗ってあげると良いでしょう。
抱き上げるのが難しい場合や大きいどうぶつの場合には、お尻の下にペットシーツなどを敷いて、洗浄ボトルなどに入れたぬるま湯で流しながら優しく汚れを取り除いてあげると良いでしょう。
この場合も乾いたタオルで水気を拭き取ってよく乾かす事も忘れずに。
【全身のケア】

優しく身体を毛並みにそって撫でてもらうことは、痛みなどの辛さと闘う動物たちへの心のケアにもなりますし、いつもと違うことはないかというチェックにもなります。
このように、こまめに全身の皮膚や被毛もチェックしておきましょう。
必要に応じてシャンプーなどでさっぱりとさせてあげたいところですが、全身を濡らしてのシャンプーは、ターミナル期の動物には負担になってしまう場合もあります。
「今の状態で全身のシャンプーをしても大丈夫かどうか」、「シャンプーをする際にはどのような点に注意する必要があるのか」など、ご心配な点はお気軽にご相談ください。
ご自宅でのシャンプーが難しい場合でも、当院提携のペットケアサロンラポールにて対応や、病院で薬浴など出来る場合もありますので、迷われる場合は一度ご相談ください。
全身のシャンプーが難しかったり部分的な汚れを落としたいときには、「洗浄ボトルに入れたぬるま湯で洗い流す」、「蒸しタオルで拭く」、「タオルシートや泡状のシャンプーを利用する」などの方法があります。
なお、「皮膚に赤みがある」、「フケやかさぶたができている」、「皮膚のニオイが強い」などの場合は、皮膚炎を起こしている可能性もあります。ターミナル期のどうぶつの皮膚炎は、悪化してしまうと治りづらくケアが大変になりますので、気になる様子があれば早めにご相談ください。
いかがでしたか?
シニア期やターミナル期に身体を清潔に保つためのケア方法についてご案内してきました。
ケアをしながら優しく話をしたり、触られて気持ち良さそうにする部分をそっと撫でたりすると、ケアをしてもらう時間が、飼い主様の愛情を感じることのできる素敵なひと時だと伝わるかもしれません。
また、どんな完璧なお手入れよりも大好きな飼い主様からの愛情に勝るケアはないかもしれませんね。
ケアの後には、「きれいになったね」、「お利口だったね」などとたくさん褒めてあげてください!
シニア期、ターミナル期を迎えた動物たちのお世話は、ご家族にとって精神的にも肉体的にも大変なことが多いため、無理のない範囲で心に余裕を持ちながら、愛おしいわが子の毎日のお世話をすることができると良いですね。






