【blog更新】シニアの過ごし方シリーズ④〜健康で楽しいシニア期の過ごし方のヒント〜

シニア期を迎えたわんちゃん、猫ちゃんは、今までと比べて活動力が低下したり、筋力が落ち歩行や運動、排泄に負担をきたしてしまうことがよくあります。
今まで出来ていたことが、急に出来なくなってしまうと、動物はもちろん飼い主さんも不安を感じられる方がほとんどだと思います。今回は歩き方(歩様)に視点を置き、どのような変化が出てくるのか、対策、サポート方法、新しい治療法をご紹介出来ればと思います。
-変化-
・歩くスピードが遅くなる
加齢とともに関節の軟骨がすり減ったり、炎症が起こり痛みが出ることで、歩くスピードがゆっくりになったり長距離の散歩を嫌がるようになります。
歩き方以外にも座り方がいつもと違ったり、四肢を触られるのを嫌がる仕草を見せることがあります。
・バランスを取るのが難しくなる
筋力が低下することで、踏ん張りが効かなくなりバランスを取るのが難しくなります。
階段の上り下りが難しくなったり、排泄の姿勢を取るのが難しい、上手くいきむことが出来なくなることが多いです。
-対策-
適度な運動をさせる
筋力が低下してる場合、軽い運動が効果的です。
筋力の回復や残っている筋力の低下を防ぐことができます。激しい運動はケガに繋がるため良くないですが、出来る範囲で少しずつ歩かせる程度の運動が適しています。
また、滑ってしまって歩きずらい場合の対策としては、足の裏の肉球の毛を短くしてみたり、肉球に貼る滑り止めシールなどがあります。
当院では、爪にゴムを装着する「トーグリップス」をオススメしています。

トーグリップスは、わんちゃんの生まれながらの歩行能力を利用し、ゴムを装着し床との接地部分を作ることで、わんちゃんの歩行をサポートします。
1度付ければ、室内外問わず使用できます。しかし、消耗品のため定期的に交換する必要があります。(1~3か月程度)
トーグリップスについて詳しく知りたい方、気になる方はいつでも診察でご相談ください!

サプリメントを服用する
関節炎がある場合、痛みを緩和したり進行を遅らせる効果が期待できます。
当院で扱っているサプリメントをご紹介します💊
◎アンチノールプラス
EPA・DHA・オメガ3-脂肪酸など91種類に及ぶ脂肪酸が含まれています。特にモエギイガイという貝から抽出される成分に、高い抗炎症作用があり、それにより関節痛を緩和してくれます。また被毛・血管・腎臓などの多くの臓器の健康に役立ちます。

◎ダスクイン
犬の関節機能をサポートするサプリメントです。関節の健康維持に必要な成分が含まれているため、関節炎の予防や変形性関節症の症状緩和に期待できます。

◎シノヴィソフトチューズ
関節の健康維持に必要な成分が配合された、嗜好性の良いチュアブルタイプになっています。
おやつとして与えることができます!

これらのサプリメントはいつでも処方できるものになります。一度診察にお越し頂き、ご相談ください。
高齢になり出来なくなる事が増えた時、急に生活パターン、習慣を変えるのではなく、今までと同じ生活パターンで過ごすのが良いといわれています。
また、出来なくなったことへのサポートも大事ですが、それ以上に今できることを継続できるようにサポートすることも大切です。
犬生、猫生を快適に過ごしてもらえるように当院でもサポートいたします。
皆さん、関節炎というとどのようなイメージを持たれていますか?診察をしていると明らかに破行(びっこ)をしていると病院に連れて来られる方が多いですが、実は痛みの症状がなくても12歳を超えるとおよそ90%の確率で関節炎(変形性関節症)を引き起こしていると言われています。
痛みは生活の質を落とし、歩きの変化だけではなく、食事の取り方など動物達に負担をかけることになります。
変形性関節症の詳しい症状に関してはこちらを参考にしてください。
変形性関節症の怖いところは、見た目の症状(破行)だけで判断すると、痛みの症状が軽度な子では気付けない可能性が高いところです。今までは痛みの治療としては以下のような治療が主体でした。
①NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):痛みどめ、炎症どめ
②関節サプリメント
①に関しては、飲み薬の他、注射薬があり、即効性があるためとても使いやすいお薬です。
ただし、長期投与の場合、肝臓、腎臓、胃腸などに副作用が生じ、「肝障害」、「腎障害」、「嘔吐・下痢」などの症状が問題となることがありました。
②に関しては、即効性がないことと、投薬が苦手な子にはなかなか継続が難しいという欠点がありました。
今回は、お薬が苦手な子も腎臓病などの持病がある子にも使える新しい関節症の治療薬についてご紹介したいと思います。
新しい関節症治療薬 (ベジンベトマブ)
このお薬は関節炎の痛みの発生に関わるNGF(神経成長因子)を阻害する抗体医薬で、今までのお薬とは全く作用機序の異なるお薬です。
実際に使用を考える上で重要な今までのお薬との違いは以下の通りです。


ベジンベトマブの有効性は?
2ヶ月間計2回投与後の有効性では
痛みの改善が見られた割合は1ヶ月目で43%、2ヶ月目で50%です。
変形性関節症は関節軟骨の変化など、元に戻らないような異常が生じているにも関わらず、月1回の注射で半数近くの痛みが改善し、日常生活がより快適に送れるようになります。
当院でも高齢のわんちゃんや猫ちゃんがこの注射のおかげで、お散歩やおもちゃでの遊びを楽しめている子が沢山います。もう年だからお散歩やおもちゃ遊びは。。。と思っていたけれども、実は痛みが隠れているのかもしれません。愛犬・愛猫の関節炎が気になる方は、いつでもスタッフにお声がけください。
痛みを早期発見・早期治療をして健康で楽しいシニア生活を送りましょう。