【blog更新】シニア期の過ごし方③ 〜ハッピーエンディングを迎えるためにできること〜
皆さん、昔は小さくてコロコロ遊び回っていたわんちゃん、ねこちゃんが歳を重ねることで不安を感じることはありませんか?
ある調査では、ペットを飼われている8割以上の方がペットロスになるかもしれないという不安を抱えていると言われています。ペットロス以外にも、病気になったり、ごはんを食べなくなったり、日常的にも不安や悲しみを感じることがあると思います。こういった心の反応を『グリーフ』と呼びます。
今回は、シニア期を迎えたわんちゃん、ねこちゃんがハッピーエンディングを迎えるための心構えとヒントをお伝えしたいと思います。
グリーフとは?
『グリーフ:Grief』は直訳すると悲嘆という意味になります。グリーフは身近なところに存在し、誰もが感じうる自然な心の反応です。グリーフは飼い主さんが感じるのはもちろん、動物たちも感じていることに気づいてあげることが大切です。
では、シニアを迎えた動物たちが感じるグリーフについて想像してみましょう!
シニア期のペットに起こるグリーフについて
身体面で見られるグリーフ
シニアを迎えると、ペットたちも体力、視力、聴力の低下などが起こります。また、関節疾患や筋力の低下などから、体を支える事が難しくなったり、歩行や体位を変える際にも痛みを伴うことも出てきます。心臓病や腎臓病など持病を抱えていることで食欲や体調、睡眠時間の変化が起こることもあるでしょう。その他、内臓機能の低下も伴うと食欲や嗜好が変化し、いつも食べていたものが食べたくなくなるといった症状も出てきます。
精神面で見られるグリーフ
身体機能の低下から触れられたりすることに恐怖や不安を覚えるなど、リラックスできない環境に身をおく時間が増える場合があります。また、散歩やおもちゃで遊ぶ、ソファに昇るなど今まで当たり前にできた事ができ無くなることもあるでしょう。
シニア期では特に病気の治療による恐怖、不安なども大きなグリーフとなる事があります。なぜなら、病気になったペットを見る飼い主さんの心の変化(うちの子この先どうなってしまうのかしら?病気は良くなるのだろうか?など・・・予期グリーフと言います)により、名前を呼んでもらえる機会や褒められる機会が減ってしまうからです。こういった、飼い主さんの予期グリーフは実はペット達にとっても大きなグリーフになってしまうのです。
ハッピーエンディングを迎えるためにできること
1)シニアを迎えたペット達の接し方を知ろう!
高齢になると、食事の与え方や生活環境の整備がとても大事になってきます。こちらは、前回のシニア期の過ごし方をご参考にしてください。
シニアペットは場合によっては、見えない!聞こえない!上手く動けない!といった状態になっていることが多々あります。このような場合は、耳元で声をかけたり、急に触ってびっくりしないようそっと触れてあげるようにしてあげる事が不安を和らげてくれるはずです。
毎日の投薬にも工夫が必要です。飲みやすい方法を考えることももちろん大切ですが、人と違い動物たちは自身の病気を理解することはできません。毎日のお薬や療法食を食べているわんちゃん、ねこちゃんには「いつも偉いね!頑張っているね!」といっぱい褒めてあげる事も大切ですよ!!
2)パーソナルデータを作ろう
シニアを迎えたペットの抱えるグリーフに思い当たることはありましたか?
大事なのは、病気や体調不良というペットのグリーフを理解し、その子がその子らしく命を全うするために、何ができるか、どう向き合っていくかを考えてあげることです。
まずは、もう一度ペットの好きなものや好きなことを考えてみませんか?病気の宣告がされたことであれもダメ、これもきっとダメと思ったことも多いはずです。また、もう歳だからといって辞めていた大好きだったことはありませんか?
ペットと出会った時のことを思い出したり、ペットの生活の質を上げてくれるヒントがそこには沢山詰まっているはずです。
当院では、ペットが安心して通院や入院ができるようパーソナルデータを作成しています。ぜひ我が子のパーソナルデータを作ってみませんか?もちろん、お家でオリジナルのパーソナルデータを作って見るのも良いかもしれませんね。
シニアを迎えたペット達が抱えるグリーフを理解し、ハッピーエンディングが迎えられるようお手伝いをしていけたらと思っております。いつでもご相談ください。
獣医師 淺井