知っておきたい緑内障の症状
眼の充血やしょぼつき、元気や食欲低下は緑内障が原因!?
<緑内障とは?>
緑内障をひとことで言うと、「眼圧が異常に高くなってしまう病気」です。眼の中では眼房水という液体が生成され、眼の中に栄養供給を行ったり、圧力(眼圧)を調整しています。眼房水は隅角と呼ばれる出口から排泄され、生成と排出のバランスをとっています。何らかの原因で出口が詰まることで眼の中に液体がどんどん溜まり、圧力が高まった状態が緑内障です。緑内障では眼圧の上昇により眼の中の視神経が圧迫されて強い痛みや視力の低下、さらには短時間のうちに失明にまで至る病気です。

<緑内障による症状や飼い主様が気付けるサイン>
高すぎる眼圧は激しい痛みを引き起こします。「白目の充血」や「眼のしょぼつき」「涙や目ヤニが増えた」等の眼そのものの症状以外に「元気がない」「食欲がない」「触られるのを嫌がる」「寝てばかりいる」といった全身症状が眼の痛みによるサインであることも少なくありません。また、よく眼を観察すると「目の表面が白く濁っている」ことに気が付くこともあります。
また、眼の充血やしょぼつきは緑内障に限らず他の眼の疾患でも見られる症状のため、診断のためには適切な検査が重要となります。病院では眼圧測定や精細な観察を行い診断します。
<原因>
大きく二つのタイプがあり、原発性と続発性に分類されます。
原発性:他の眼疾患がなく遺伝的な素因により発症します。柴犬、アメリカンコッカースパニエル、シーズー、ビーグルなどが好発犬種として知られています。
続発性:白内障やブドウ膜炎、水晶体脱臼など他の眼の病気が原因となって発症します。
<治療>
内科治療(点眼薬、内服薬)と外科治療があります。
治療の選択に際して重要となってくるのは、時間の経過に伴う視覚の有無になります。視覚の喪失は急激な眼圧上昇が24~72時間程度持続すると生じるため、症状が出てから治療までいかにスムーズに行えるかが重要です。視覚が残っていれば治療の目標は視覚の維持と眼圧のコントロールになりますが、残念ながら診断時点で失明している場合には視覚の回復は望めません。失明している場合の治療の目標は痛みからの解放になります。
内科治療
眼圧を下げるための点眼薬が治療の基本となります。複数種類の点眼を使用することも少なくありません。症状が起こり始めの急性期には内服薬での抗炎症治療を併用することも多いです。
外科治療
点眼薬だけでは眼圧のコントロールが難しい場合や、視力を維持できる可能性がある場合にはインプラントにより房水を体外に排出する手術や、レーザーにより房水の産生をコントロールする手術が行われます。いずれも高度な手術で眼科の専門病院等での実施に限り、当院では実施しておりません。
すでに視力を失ってしまい、痛みがコントロールできない場合には眼球を摘出したり義眼を入れる手術も選択肢となります。これはご家族にとっては非常につらい選択ですが、痛みから解放するための大切な治療の一つです。
<最後に>
緑内障は「少し様子を見よう」と思っているうちに失明に至る可能性もあり、早期発見、早期治療が重要です。日頃から左右の眼の色や大きさ、動かし方などチェックするようにしていただき、少しでも気になる症状があれば様子を見ずにご相談ください。
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