実は皮膚トラブルで動物病院に来院するワンちゃんはとても多く、短期間で治療が終了するものから生涯治療を続けていく必要があるものまで、かゆみの原因となる病気の種類はさまざまです。
特にかゆみは飼い主が気付きやすい症状の1つで、かゆみの程度も少し掻いてる程度から睡眠の妨げになることもあり、不愉快に感じている子もいます。
今回はご自宅でチェックして欲しいこと、ケアについてお話します。
病院に連れていく前、治療中にしておくと良いチェック🏥
また、次の項目をメモしておくと診断の手助けとなることも多いです。
自宅でできる皮膚ケアのポイント🐩
そもそも「かゆみ」を起こさないためにはどうしたらいいでしょうか? 自宅での皮膚ケアのポイントをご紹介します。
■皮膚のチェック
被毛を掻き分けて地肌をチェックしましょう。特にお腹や股は、おしっこなどの排泄物で汚れてしまっていたり、蒸れて症状が出やすい場合がありますが、見落としがちです。欠かさずチェックするようにしましょう 。
■皮膚を清潔に
・ブラッシング
被毛の生え変わる季節(春と秋)は特に重要です。毛艶をよくするだけでなく、皮膚の異常に早期に気づけることもありますので、普段からわんちゃんとのコミュニケーションの一つとして継続をしましょう。
・シャンプー
一般的な頻度は1ヶ月に1回程とされていますが、皮膚のコンディションによって、使用するシャンプー剤や頻度は異なります。気になる症状がある場合は、獣医師に相談をしましょう。
・保湿
保湿をすることで皮膚のバリア機能が強化されます。特に空気が乾燥する季節はお部屋の湿度にも注意しましょう。
■外部寄生虫の予防
ノミやダニなどの寄生虫が皮膚のかゆみの原因となる場合もあります。人が持ち込んでしまう場合もありますので、完全な屋内飼育であったとしても予防をしっかり行いましょう。
かゆみの原因は様々です。原因など詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
それぞれの病気によって、症状や治療法も異なります。適切な検査を行い、原因をつきとめるためにも、家でのご様子のメモやお話が重要になってきます。また、治療にあたるためにも、家でのケアが必要になります。早めにかゆみを取り除いてあげられるように早期診断・治療してあげることが大切です。
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■どんな病気?
ねこちゃんで起こる人の風邪に似た症状を示す上部呼吸器感染症です。
鼻水やくしゃみなどの風邪のような症状が出るだけではなく、重症化すると肺炎を起こし、最悪死に至ることもあります。
■原因
猫ヘルペスウイルスⅠ型の感染が原因で、免疫力の弱い子猫やお年寄りの猫で多くみられます。
感染したねこちゃんの唾液や鼻水、目やに、飛沫などによって感染が起こります。
また、猫カリシウイルス、各種細菌、クラミジア、マイコプラズマなどと混合感染してる場合は重症化しやすいです。
■症状
・くしゃみ、鼻水、涙が出る
・目やにが多くなる、目を開けづらそうにする
・口を痛がる、ヨダレが出る
・食欲、元気がなくなる、発熱がある
・呼吸困難
■治療法
症状に応じて内服薬や点眼薬、点鼻薬、ネブライザーによる吸入などを用います。
抗ウイルス作用のあるインターフェロンというお薬や、二次感染を抑えるために抗生剤を用いて治療を行います。
食欲がない子には、点滴や食欲増進剤などの補助療法も行います。
重度の結膜炎で結膜の癒着が癒着した場合は、手術によって癒着の剥離などが必要になることもあります。
■予防法
ヘルペスウイルスの特徴として、一度感染するとウイルスが生涯ねこちゃんの体の中に存在し続けてしまいます。一見良くなってもストレスや免疫力の低下がきっかけで再発することも多いです。
これらの病気は混合ワクチンの接種によって予防が可能ですので、ワクチンをうってしっかり予防してあげましょう。
多頭飼いの場合には、他の子への感染を防ぐために、食事や水のお皿を分けたり、次亜塩素酸でのこまめな消毒を行いましょう。
子猫や高齢猫は免疫力が弱く重症化しやすいので、早めの治療が必要になるので、早めに病院を受診しましょう。
また、同じような症状が見られても、原因が歯の異常であったり腫瘍であったりする場合もあるので、病院でご相談ください。
獣医師 飛田
■どんな病気?
体の主要な骨格である背骨は、脊椎と呼ばれる小さな骨が連なって出来ています。その脊椎同士の間にあるゼリー状の組織を椎間板といい、骨と骨の間でクッションのような役割をしています。
「椎間板ヘルニア」というのは、骨と骨の間にある椎間板が何らかの原因によりとび出し(=ヘルニア)、脊髄神経を圧迫している状態のことを指します。
正常 | 椎間板ヘルニア |
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■どんな病気?
おしっこを貯める臓器である膀胱で炎症が起きてしまう病気です。
■原因
ワンちゃんでは、大腸菌などの「細菌感染」による膀胱炎が多くみられます。尿道を通って細菌が膀胱に入り込んでしまうことで感染が生じます。他にも膀胱結石や腫瘍などが刺激となって膀胱炎となってしまうこともあります。
また、猫ちゃんでは原因がはっきりとしない「特発性膀胱炎」も多くみられます。ストレスや環境の変化が要因として考えられています。
■こんな症状が見られたら病院へ
・トイレによく行く
・1回あたりにするおしっこの量は減る
・おしっこをするときに痛そうにする(力んでいる、鳴くなど)
・おしっこの色、臭いが変わる(血が混じるなど)
診察時におしっこを持ってきていただくとスムーズな検査が可能です。
直接紙コップなどで採るほかに、ペットシーツを裏返してその上でおしっこをしてもらう、などの方法でおしっこを採ることができます。
おしっこ用の容器もお渡ししているので、ご相談ください。
■診断・治療法
病院では尿検査、エコー検査などを行い、膀胱炎であること、またその原因を特定していきます。細菌感染がある場合には主に抗菌薬を使って治療を行います。
結石や腫瘍がある場合、それらに対する治療を並行して行って行きます。
■予防法
原因として1番多い細菌性膀胱炎に対しては、膀胱内に細菌の侵入するリスクを減らすことが大切です。対策として、トイレを長時間我慢させないようにし、排泄しやすいトイレ環境を整えてあげましょう。また、外陰部やペニス周囲の皮膚は、排泄による汚れが付着しやすいので、清潔に保つと良いでしょう。
膀胱炎は放置しておくと感染、炎症が拡大して命にも関わってくる病気ですので、日頃からおしっこの様子をよく観察して、早めに変化に気づいてあげることが大切です。
気になる様子がありましたら、お気軽にご相談ください。
獣医師 飛田